2002年のメジャーデビュー以来、時代の変化を感じ取り、常に先取りして新しい事を仕掛けてきた侍ジャズバド”PE’Z”。それまでマイナーだとされていたインストルメンタルミュージックを日本の音楽シーンのメインストリームに押し上げたバンドの一つだ。そんな彼等が今夏、小学生向けの”ジャズクリニック”を2週間ほぼベタ付きで開催した。これは、純粋に彼等がモノづくりの最前線にいて、次世代の音楽家を目指す子供達に「音楽」を伝える場を作りたいという想いから実現したものだ。「ここ最近は、PCなどデジタル化されたシステム上で音楽制作が行われる事が増えているが、基本となるのは今も生演奏であることに変わりはなく、子供達には車の両輪の様にデジタルとアナログの両方の良さを知ってほしい」とメンバーは述べている。
NOT JAZZ BUT PE’Zと言い表されるように、ジャズを基調としつつも独自の解釈を貫き、ロックやラテンなど様々なジャンルの音楽を自由に取り入れて他に類を見ない音楽を届けてきたのだが、以前トランペッターの大山も自身のブログで「サウンド的に色々なアプローチに手を出しすぎて、散漫になっていた」「侍JAZZと評される中で、JAZZという音楽ジャンルに囚われていた部分があった」とここ数年間の活動を
ふり返っている。そんなPE’Zの最新アルバム「血騒-chisou-」は、「根底となるPE’Zサウンド」”血を騒がすサウンド”に再び辿りつき、冒頭から最後まで無駄なサウンドが一切排除されている。リーダー/ドラムスの航も「曲毎の個性はとても強いが、それでいてアルバム全体の
印象は決して散漫にならず、上手く統一できた」と語っている。
アルバムタイトルトラックM1「Chi-Sou!」は”血を騒がすサウンド”を意識しており、サビになるとズコーッっと景色が一変するPE’Zならでは十八番。共にナチュラボーンキーボーディスト”ヒイズミマサユ機”が狂愛プレイとシャウトを炸裂させている。M2にはジャズのスタンダード・
ナンバー”Smoke Gets In Your Eyes”を美しいメロディラインは壊さず、スピード感溢れるPE’Z風に料理。笑う門には福来るをテーマにストレートに突っ走る ハードランニングチューンM3”ワラエフトレ~laugh and get fat~”や、印象的なサックスループから ブルージーに始まり、極上メロディのサビへと突入するM4″TRICK☆STAR” と 急激にシーンは移り変わり、いくつものモチーフが怒涛のごとく 詰め込まれている。
リードトラックM10「Viva! A So Bole !」はジャズクリニックのテーマソングとして作られたもの。アルバムラストを子供達の声と共にラストを締めくくる。また「根底となるPE’Zサウンド」のキッカケを掴んだと言われるLIVEでの人気ナンバーM6″THE LEGEND”も収録されている。
そして今作はCDとアナログ盤の2タイトルをリリースしており、それぞれボーナストラックが収録されている。CDは”StartLine “は名前のごとく、
風に舞う物語の始まりを感じさせてくれる。アナログの”De dede”はビンテージ感を聞かせたナイトナンバー、それぞれのメディアに合わさせた楽曲を入れアルバム一枚通して聞くとそれぞれの印象の違うことも感じるはずだ。
めまぐるしく変わる時代の中で、硬派に進み続けるPE’Zのライブバンドとしての底力がこの1枚にぎっしり詰まっている必聴盤。
ストリートライブからスタートし、日本のみならず欧州・アジアと活躍の場を広げ、現在に至るまで新たな目的を見つけて走り出したPE’Z。今後も乞うご期待!!
01.Chi-Sou!
02.Smoke gets in your eyes
03.ワラエフトレ~laugh and get fat~
04.TRICK☆STAR
05.ABARENBO
06.THE LEGEND
07.PLAYERS HIGH!
08.さすらいSummer
09.Brushup
10.Viva! A So Bole!
【CD】ボーナストラック「StartLine」収録
¥3,000(tax out) APPR-3011
※M2「Smoke Gets In Your Eyes」は、1933年、Jerome Kernによって制作された楽曲です。
P.D.(パブリック・ドメイン)楽曲を、PE’Zがアレンジして新たな創作性を加えた作品です。
よってライナークレジットにはMusic by PE’Zと表記しております。