不安の時代に向けた、スズモクなりの「応援歌」
この夏、多数のフェスに出演し、そのライブのラストで必ず歌ってきた「真面目な人」がシングルとして発売される。この混沌とした不安の時代に「自分自身を奮い立たせる」という意味では彼自身に対する応援歌であり、そしてこの曲を聴いた者すべてに何かを考えさせるという意味では、リスナー全員に向けた応援歌でもある。
01.真面目な人
02.鴉が鳴くから
03.真面目な人(Instrumental)
04.鴉が鳴くから(Instrumental)
APPR-1204
¥1,200 (tax out)
「真面目な人」は,スズモクが最近持ったばかりのエレキ・ギター(前作Niからエレキを持った)のイントロから始まる。この曲はどこか昭和を思わせる懐かしさもあり、その曲調は今まで形容されてきたオルタナティブ・フォークというよりは,むしろロックを感じさせるものに仕上がっている。
歌詞中の「他人の肩と ぶつかるその度 諸刃の心が 震え始める」の部分では、誰しもが心の中に抱える不満が爆発する寸前の緊迫した様子を描写することで、現代人が置かれている「心の不安定感」に警鐘を鳴らしている。曲全体としては現代社会の厳しさをメッセージ性に富んだ辛辣な言葉で表現している。
カップリング曲「鴉(カラス)が鳴くから」は以前からライブでは披露されており、ファンの間ではお馴染みの人気ナンバーだったが音源化には至っていなかった。こちらは街の嫌われ者カラスに自身をダブらせた歌詞を「真面目な人」とは対照的なラテン・サンバのリズムに載せてアップ・テンポに歌い上げているので、この2曲がおりなすコントラストもこのシングルの聴きどころだと言えるだろう。
アグレッシヴに噛みつくようなプレイ・スタイルと、ソフトな語り口の歌詞にやや毒気を滲ませるという“スズモク”が持つ二面性を人間的な成長というスパイスで更にエスカレートさせた2曲が収録されている。